形あるものはみないつか、こわれるのさだから、
心の中のもやもやは形に表せばこわれて消えるのさ
したり顔のいたちが僕に言った。きらきらしたお目めだ。
「形に表すことに成功するとは限らない」
僕がそう言うか言わないかのうちに
いたち先生はぬるりと、
彼自身よりずっと小さく見える穴の中に帰っていった
心の中のもやもやは形に表せばこわれて消えるのさ
したり顔のいたちが僕に言った。きらきらしたお目めだ。
「形に表すことに成功するとは限らない」
僕がそう言うか言わないかのうちに
いたち先生はぬるりと、
彼自身よりずっと小さく見える穴の中に帰っていった
号外(読んでもまったく意味がない文章です)
2010年6月20日 号外朝刊が届いた音がする。
深夜の3時を回った時間に僕はこれを書いている。日曜日の夜から月曜日の朝へと世界が移り変わっている。コンピュータの中の魚や犬や、あと何かわけのわからない坊主頭の生き物の世話をするのにも3時間前に飽きてしまった。
なんだかとても眠たいような気がするし、眠たくなんかまったくないという気もする。はっきりしているのは、少なくともあと1時間ぐらいのうちに寝てしまわなければ、明日の仕事に決定的に差し障るということだ。仕事への決定的な差し障りはしかし、今の僕自身にとっての決定的な事項ではない。
犬が鳴いている。うちで飼われているジャーマン・シェパードだ。何だって犬というやつはさっきまで眠っていたのに突然腹のそこから声を出すことが出来るんだろう。昔々は人間もそうだったんだろうか。
「うちで飼われている」って僕は今言ったけれど、正しくはやはり「うちで飼っている」だろう。文章には知らずのうちに自分の心の中の、色んな距離感があらわれてくるものだ。
一週間前にテレビの中で見た、南アフリカの青空がまだ僕の頭の片隅(おそらくだけど右側の耳のすぐ後ろのつむじ寄りの辺り)に広がっている。
僕はその青空の下で横になっている。そこは何故かフリー・ステイト・スタジアムではなくて、お約束のようなばかばかしい草原だ。
草原の上で手のひらを枕にして横になるのは、脳の中の青空の下ではなかなか気持ちがいいものだけれど、実際にそれをどこか、例えばアメリカの田舎町あたりで、おこなった場合、芝生がちくちくしたり日差しが暑すぎたり風が寒すぎたりするということを僕は実体験として知っている。
なのに僕の頭の中の僕がそういうところでそういうことをするのは、やはりそっちの世界とこっちの世界では前提と言うか、ルールが違うということなんだろう。もしくは違うのは僕の感じ方なのかもしれない。
外はだんだん明るくなっている。時間は日曜と月曜の中間ではなくなった。
もはや犬は鳴いていない。
深夜の3時を回った時間に僕はこれを書いている。日曜日の夜から月曜日の朝へと世界が移り変わっている。コンピュータの中の魚や犬や、あと何かわけのわからない坊主頭の生き物の世話をするのにも3時間前に飽きてしまった。
なんだかとても眠たいような気がするし、眠たくなんかまったくないという気もする。はっきりしているのは、少なくともあと1時間ぐらいのうちに寝てしまわなければ、明日の仕事に決定的に差し障るということだ。仕事への決定的な差し障りはしかし、今の僕自身にとっての決定的な事項ではない。
犬が鳴いている。うちで飼われているジャーマン・シェパードだ。何だって犬というやつはさっきまで眠っていたのに突然腹のそこから声を出すことが出来るんだろう。昔々は人間もそうだったんだろうか。
「うちで飼われている」って僕は今言ったけれど、正しくはやはり「うちで飼っている」だろう。文章には知らずのうちに自分の心の中の、色んな距離感があらわれてくるものだ。
一週間前にテレビの中で見た、南アフリカの青空がまだ僕の頭の片隅(おそらくだけど右側の耳のすぐ後ろのつむじ寄りの辺り)に広がっている。
僕はその青空の下で横になっている。そこは何故かフリー・ステイト・スタジアムではなくて、お約束のようなばかばかしい草原だ。
草原の上で手のひらを枕にして横になるのは、脳の中の青空の下ではなかなか気持ちがいいものだけれど、実際にそれをどこか、例えばアメリカの田舎町あたりで、おこなった場合、芝生がちくちくしたり日差しが暑すぎたり風が寒すぎたりするということを僕は実体験として知っている。
なのに僕の頭の中の僕がそういうところでそういうことをするのは、やはりそっちの世界とこっちの世界では前提と言うか、ルールが違うということなんだろう。もしくは違うのは僕の感じ方なのかもしれない。
外はだんだん明るくなっている。時間は日曜と月曜の中間ではなくなった。
もはや犬は鳴いていない。
さかなはさらに深く、深くへと潜っていく
深海はなぜだか真昼のような光に満ちていた
さかなはいったんおかに上がって車に乗った
国道線で事故をしないように
安全運転をしようと思ったのだが
そういうこととはあまり関係なく
肺呼吸のできないさかなは
わりとすぐに海に帰っていった
そしてさらに真昼のような深海へ・・・
深海はなぜだか真昼のような光に満ちていた
さかなはいったんおかに上がって車に乗った
国道線で事故をしないように
安全運転をしようと思ったのだが
そういうこととはあまり関係なく
肺呼吸のできないさかなは
わりとすぐに海に帰っていった
そしてさらに真昼のような深海へ・・・
今日みたいな快晴の空と会話するのも
山と会話するのも
湖と会話するのも
いぬと会話するのも
あの子と会話するのもぜんぶ
地球と会話しているという意味ではおんなじだ
せかいは僕・と・僕以外のすべて・でできているかな
でも僕とせかいの境目はすぐにあやふやになる
僕は鍵やボールペンやなんかと同じようにそれを見失う
それでもどこかに境目があって、
そこからいま、血が出ているんだ
山と会話するのも
湖と会話するのも
いぬと会話するのも
あの子と会話するのもぜんぶ
地球と会話しているという意味ではおんなじだ
せかいは僕・と・僕以外のすべて・でできているかな
でも僕とせかいの境目はすぐにあやふやになる
僕は鍵やボールペンやなんかと同じようにそれを見失う
それでもどこかに境目があって、
そこからいま、血が出ているんだ
風で飛ばされて
雨でびしょぬれて
崖にしたたかぶつかって
ずしゃっと泥んこの地面に落ちた
立ち上がろうとしてすべって顔から落ちて
涙と泥んこで顔がぐちゃくちゃ
なんとか立ち上がってみたものの
嵐でまわりは全く見えない
雨が泥んこを洗い流しつつあったその時
僕は声を出した
(そういえばそれが僕の第一声だった)
雨でびしょぬれて
崖にしたたかぶつかって
ずしゃっと泥んこの地面に落ちた
立ち上がろうとしてすべって顔から落ちて
涙と泥んこで顔がぐちゃくちゃ
なんとか立ち上がってみたものの
嵐でまわりは全く見えない
雨が泥んこを洗い流しつつあったその時
僕は声を出した
(そういえばそれが僕の第一声だった)
どうせ俺はあほなんやから
せっかくやったもっともっと
もっとあほやったら良かったのに!
いや、ちがう
やっぱりこのくらいのあほですんで良かった
目を凝らし
耳をすます
せっかくやったもっともっと
もっとあほやったら良かったのに!
いや、ちがう
やっぱりこのくらいのあほですんで良かった
目を凝らし
耳をすます
お菓子を食べてたら
もう一人の僕が背中からがちゃりとドアを開けて出てきて
いきなり僕はぼこぼこにされました
おなかからがらがらっと出てきた僕に介抱されながら
僕は大きく大きく
ため息をついた
、、、
のを
見ている僕
、、、
その僕を、やっぱりぼこぼこにしたい僕
もう一人の僕が背中からがちゃりとドアを開けて出てきて
いきなり僕はぼこぼこにされました
おなかからがらがらっと出てきた僕に介抱されながら
僕は大きく大きく
ため息をついた
、、、
のを
見ている僕
、、、
その僕を、やっぱりぼこぼこにしたい僕
ポーカフェイスで入ってきた君は
僕のリクエストに応えて
しばし僕の左手を揉んだ
僕は前方に注意しながら
そのモールス信号を解読しようとした
そしてこれが難しいんだけども
安直なへらへら顔を作らないように努めたんだ
僕のリクエストに応えて
しばし僕の左手を揉んだ
僕は前方に注意しながら
そのモールス信号を解読しようとした
そしてこれが難しいんだけども
安直なへらへら顔を作らないように努めたんだ
日々ハートは傷だらけになっていく
使い込まれた大工道具みたいに
カッコよくなっていく
日々ハートはすすだらけになっていく
遠くからやってきた機関車みたいに
ワクワクかっこよくなっていく
黒っぽくぎらっと鈍く光るハート
意外と満足して胸にはめ込むんだけど
たまにぞうきんで拭いてみて
ペーパーでこすってみる
きらっとなったその部分を覗き込むと
おっさんみたいな
子供みたいな
僕が映っている
使い込まれた大工道具みたいに
カッコよくなっていく
日々ハートはすすだらけになっていく
遠くからやってきた機関車みたいに
ワクワクかっこよくなっていく
黒っぽくぎらっと鈍く光るハート
意外と満足して胸にはめ込むんだけど
たまにぞうきんで拭いてみて
ペーパーでこすってみる
きらっとなったその部分を覗き込むと
おっさんみたいな
子供みたいな
僕が映っている
言わなくてもいいことが
僕の口から出てしまい
君のとなりをすり抜けて
踊りながら道のかなたに去っていった
あーあーあーと少し後悔しながら
卑屈に見上げると
意外と君は笑っていたんだ
僕の口から出てしまい
君のとなりをすり抜けて
踊りながら道のかなたに去っていった
あーあーあーと少し後悔しながら
卑屈に見上げると
意外と君は笑っていたんだ
つま先立ちで歩いてく
危ういバランスでうわわってあせりつつ
でもちょっとだけ高い視線を楽しみながら
つま先立ちで歩いてく
ふくらはぎがつりそうになったりしつつ
でもちょっとだけ君を安心させながら
歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いてく
カッコつけて何が悪い
家に帰って足もみもみしてふうって言って何が悪い
って、
誰にも何も言われてないのに
一人でそんな言い訳しつつ
でもちょっとだけ自画自賛したりしながら
てくてくうわわっ てくてくてく
つま先立ちで歩いてく
危ういバランスでうわわってあせりつつ
でもちょっとだけ高い視線を楽しみながら
つま先立ちで歩いてく
ふくらはぎがつりそうになったりしつつ
でもちょっとだけ君を安心させながら
歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いてく
カッコつけて何が悪い
家に帰って足もみもみしてふうって言って何が悪い
って、
誰にも何も言われてないのに
一人でそんな言い訳しつつ
でもちょっとだけ自画自賛したりしながら
てくてくうわわっ てくてくてく
つま先立ちで歩いてく
なんでもかんでも口に入れて食ってしまえ
目を見開いてごりごりと噛み砕いてしまえ
目をつぶってもぐもぐと味わってしまえ
目とかどうでもいいから飲み込んでしまえ
いつかにっこり笑える時が来る
目を見開いてごりごりと噛み砕いてしまえ
目をつぶってもぐもぐと味わってしまえ
目とかどうでもいいから飲み込んでしまえ
いつかにっこり笑える時が来る
「一月の冷える休日」
一月の冷える休日の朝に
自転車で二人乗りをする
歩道橋をえいえいこいで昇って行く
二人の方がペダルは重い
でも二人の方が
昇ったら二人分うれしいし
昇ったら二人分ぽかぽかする
あ、魚がはねた
そんな一月の冷える休日
一月の冷える休日の朝に
自転車で二人乗りをする
歩道橋をえいえいこいで昇って行く
二人の方がペダルは重い
でも二人の方が
昇ったら二人分うれしいし
昇ったら二人分ぽかぽかする
あ、魚がはねた
そんな一月の冷える休日
犬をむりやりだっこして
ホップステップジャンプした
ほらほらホップ
ステップ
ジャ~~~~~~~~ンプ
ほらもういっちょホップ、
ステップ、
ジャ~~~~~~~~ンプ!!
息をはずませて犬を見ると
なんだか彼女も納得したような顔してて
へっへっへっへっ
ふたりして笑った
ホップステップジャンプした
ほらほらホップ
ステップ
ジャ~~~~~~~~ンプ
ほらもういっちょホップ、
ステップ、
ジャ~~~~~~~~ンプ!!
息をはずませて犬を見ると
なんだか彼女も納得したような顔してて
へっへっへっへっ
ふたりして笑った