晴れ。

最近読んだ本。

「坂本ミキ、14歳」黒野伸一
「桐嶋、部活やめるってよ」朝井リョウ

平成生まれがどんどん主役になっていく。

両方面白かった。
晴れ。

父の日。おねえと一緒にイオンへ。「おやじの誇り」っていう焼酎と「ナイシトール」ってメタボ対策の錠剤をプレゼントとして購入。

中国から帰ってきた父を交えて夕食は鍋でした。うちの家族はやたら鍋が好きで、鍋を食べないのは真夏の一、二ヶ月ぐらいです。「おやじの誇り」は味に深みを出すためにあえて初留酒を混ぜているらしく、いい感じに雑味がありました。

夕食後、別に父の日だからではないと思ってるんですが、久しぶりに父と碁を打ちました。父が中国で買ってきた漆塗りのきれいな碁盤を使っての対局(普通の碁盤は高級なものでも木目が出た木の作りです)。

相変わらずのぼろ負け。うーん碁も勉強したいとは思ってるんですけどね。

*

父の日だからでは決して決してありませんが、読書「ムーミンパパの思い出」トーベ・ヤンソン。

すごく好きでした。ムーミンシリーズはまだ三作しか読んでいないけど、きっとこれが僕的最高傑作になるんじゃないかと思いました。

「フレドリクソンは何かを作りたがっている、ムーミンパパは何かになりたがっている、ロッドユールは何かを欲しがっている。でも、ヨクサルはただ生きようとしているだけ。」


ん。考え方によっては、みんなただ生きようとしてるだけなんだと思います。

ほんとはみんな、ちゃんと自分を持っている。でもそこから離れた何かになりたがったり、何かを欲しがったりする。で、僕はそれは別に悪い事じゃなくて、ちゃんと素敵な事だと思う。

ただ、弱い僕たちがいつもやってしまうのは、いきなりそこにぽーんと行こうとしてしまうこと。そんなことはできない。できたと思ってるならそれはフェイクだ、と思う。

プロセスを愛する事、が自分自身や自分の現状や自分の人生を愛する事なんだ、と思う。

今の自分ではない何かに変わろうとするのは悪い事じゃない。

でも、自分の理想の自分も、今の自分の延長上にある自分なんだ、という事をわかっておかないと。

そうすれば、今の自分も過去の自分も未来の自分も愛せるんじゃないか。

自分を愛すれば、もし、簡単に愛する事ができなければ、せめて、自分を認めてあげれば、ヨクサルやスナフキンみたいに強く(?)はなれなくても、ヨクサルやスナフキンみたいに自由にはなれるかもしれない。

いい気分で風に吹かれたい。
くもり。

こんな日はゲンジボタルがよく飛びます。僕の家の近くはめっさいますよ、ほたる。連れて行って欲しい方は僕まで。

*

読書「ムーミン谷の彗星」トーベ・ヤンソン。

こないだ資料と一緒に図書館で借りました。

すごいいい。もっと読みたい。もっと読もう。

色々全然完璧じゃないところがいい。


晴れ。

あまり寝ずにイントラのバイト。けっこう慣れてきました。しかしここでよっしゃ慣れた、と納得してしまっては面白くない。うーんどうしてくれようか。向上心と工夫をキーワードに。

*

読書「私の男」桜庭一樹。

女性作家ですよ、女性作家。

僕はてっきり男性作家だと思って読んでいて、たしかに「ええ?これ男が書いてるの?すげえな。」と思いました。が、女性だとわかってなんか少し納得しました。

娘には自分も母親も父親も含まれてるんだって。血。まあそう言われればまあそうかなあという気はする。自分の子孫を作ることで自分の祖先と再会できるってことですか。

でもじゃあ自分がいるからそれでいいじゃんって思うんやけど。自分だって祖先の血が集まってできてるんやから。

でも一人はいやってことやんな。一人はいやってのと家族の話は別問題やと思うんやけど。ごっちゃにしたらやっぱあかんよ。

なんかこの本、やたら読むのに時間がかかりました。
晴れ。

バイトの後、ケーキを食べに行く。マサラチャイと、本日のケーキ三点セット。アーモンド入りガトーショコラ、チョコ生クリームケーキ、カボチャのプリンの三点。うんうん。

うんうん、あ、よく考えたら今日朝チーズケーキ食ったんやった。ケーキ大好きな人みたいや。

チャイを飲んで。ふにゃっと笑う。

*

読書「告白」湊かなえ。

構成が少しだけあざといような気はしたけど面白かった。あざとい、とかいう見方が傲慢なんかもなあ、とか最近思うけど。

色んな人の「良かれ」が混ざり合って悪い方へ悪い方へ。嫌な「ラブ・アクチュアリー」って感じですね。人のことなんか結局わからないんやから、って言って最初から放棄せずに、やはりコミュニケーションをとろうとする努力も無駄じゃないんじゃないか、と思いました。納得するために。後悔しないために。

って、そんなんも含めて、起こってしまうまで正解なんてわからないのが人生やけど。

*

中学高校の友人であるニシモトと電話で話す。

自分の思うように生きるのと、人のことを考えないのは全く違うことなんだ。

そこを間違えないようにしたい。

そこを間違えてしまったのなら、謝れるようにしたい。
晴れ。

東京入り。長距離バスで移動。夜行バスは大嫌いですが昼バスは大好きな僕、今日もご機嫌で本を読む。

*

宮本輝「血の騒ぎを聴け」。

筆者のおそらく唯一のエッセイ集。短いもの長いもの、日記から書評まで盛りだくさん。正直な文章が多く面白かったです。

*

カーテンを開けて本を読んだり景色を見たりうとうとしたりしていたんですが、ある時うとうとから覚めると窓の外が真っ白。大雪でした。

僕は一瞬、自分がバスに乗ってる事も忘れていたので、なんやこれ、どこここ?どこに向かってるの?と、うっとりしてしまう。でも実際どこ辺りだったんだろう・・・。

夜の9時に新宿に着く。

今回は住む場所が決まっています。前回の公演で一緒だったジュンの部屋。彼は今モデルの仕事で日本を空けています。その間、僕が割安でサブレット(空けている間住む事)をさせてもらう事になったんです。

新宿から電車と徒歩で20分ほど、到着。

下見も何もしなかったのでgoogle mapsの地図のみが頼りだったんですが、無事に着く。ポストの中に入っていた鍵で、部屋の中へ。

僕が予想していたより全然いい感じでした。広いし(広く感じる)し、きれいにしてくれてるし。すごくうきうきしてくる。

ソヒさんへ「到着しました」と連絡して、風呂入ってとっとと寝る事にします。

探険は明日だ。
くもり。

メリークリスマス!

イブ!!!!

あまり関係なく普通に仕事。お歳暮の中にアンリ・シャルパンティエの「タルト・アンサンブル」を発見。食べまくる。

クリスマス・ディナーは石狩鍋でした。家に白味噌がないので泉南イオンに走る。キヤさんがいないかなと店を覗きましたがいるはずもない。

石狩鍋。白味噌、みりん、昆布、牛乳、バターでスープを作る。

大変おいしい。

が、味噌やのに鮭に微妙に塩がしてあるので少し塩辛い。

これ以上塩辛くしてたまるかと、あふれ出る涙をこらえる。

*********************

奥田英朗「空中ブランコ」。精神科医・伊良部シリーズ第2弾。イン・ザ・プール同様大変おもしろい。

無理をする、無理をしない、の定義について考えました。
晴れ。

夕方からちょいと寒くなってきましたね。ヘタれて自転車をおいて会社から車で帰宅。ウクライナの演出家のレクチャーには間に合わず。残念。

**********

日明恩「ギフト」。

間接的に人の死の原因になってしまい、それ以来人生を捨てた男と、幽霊を見ることのできる少年との出会い。

主人公には同情はするが共感はできず。

自分を責めても意味ない、と思う。

前向きに生きていくほかないじゃないか。

でも一方で、そういう「意味ない」ところにこそ人間の美しさ、人生の美しさはあるのかもしれない、とも思います。

だってそんなん言い出したら一体この世の何に「意味」があるねんってなりますからね。

クールに生きてたら傷つかないかもしれないけど。

俯瞰で生きる人生なんて、自分が主役の映画やテレビををただ観てるだけ、みたいなもんで、ある意味つまらない。

人生は観るのではなくて、生きるもの。
晴れ。

会社の弁当は冷めている。朝届けられるからです。ご飯は保温機に入っててほかほかですが。

せっかく食べるならおいしく食べたい!

というわけで電子レンジで温める。

食と真剣に向き合っている僕としては当たり前なのですが、今まで誰も温めなかったらしいです。レンジのコンセントすらささっていませんでした。

「チン」と文明開化の音がする。

あたたかなおでん。100倍美味い。

人生はこうでなくちゃ!

同じものでも温めたりとかして、よりおいしく食べなくちゃ!

**********************

稽古。

細かい稽古が続いています。僕のキャラクターの核もだんだん定まってきました。もちろん演出からは注文、ダメだしは続きますが。その都度修正。修正。

**********************

読書。

西加奈子「きいろいゾウ」。

いわゆる「不思議ちゃん」な女性とその夫の、ど田舎での夫婦生活。東京から引っ越してきた彼女たちの毎日が、女性の一人称と男性の日記で語られる。

同じ日のことが二回づつ二つの目線で描かれるので、微妙な温度差や誤解がおもしろい。そして、そういった温度差や誤解は、関係性の善し悪しを決定付けるのにさして重要ではないんだってことがわかります。

ミスチルも言っている。

一つにならなくていい。認め合えればそれでいい。
晴れ。

日差しが暖かいですね。働いていると汗ばむぐらい。昼休みは陽だまりスポットで読書をします。

というわけで、石田衣良の「眠れぬ真珠」を読みました。

更年期を迎えた女性アーティストが主人公で、そんな主人公のアーティストとしての苦しみに、きっと作者は自分のそれを重ねているんだろうな、と思いました。アート論がたくさん出てきて、考えさせられる。

歳をとって何かを失っていくという事、それはたしかに何かを失っていく事なんだと思う。でも同時に、開放されていく事、自由になっていく事、とも言えるんじゃないでしょうか。

自由になったからこそ見えること、できることもきっとある。

ただ、ないものねだりは人間の常。

でもそれは意味ない。

よい時も悪い時も今を生きた方がいいに決まってるんだから。
晴れ。

やっとPCが直った。。。

*****************

・観た映画。

「SEXと嘘とビデオテープ」スティーブン・ソダーバーグ監督作品。

・読んだ本。

グロテスク(桐野夏生)
I’m Sorry, Mama(桐野夏生)

桐野さんの本は登場人物(特に女性)が、ごく「自然体」で変なところが恐ろしい。

******************

大阪時代の友人に会う。新たなことにチャレンジしようとしているようで、いい勢いを分けてもらいました。

今の自分が出来ることを全部、文字通り全部、やってみるぐらいの勢いって大事だ。どんなに無茶なことでもどんなにちっちゃなことでもやってみないと何も変わらない。

それが意味なくても少なくとも意味なかったってことはわかるやんか。
雨。

*******

最近読んだ本

イン・ザ・プール

はだしのゲン
幻のヤミ市ガイドブック
星々の舟
僕風人生ノート
軽薄対談
人生を救え!
日本人にはもう売るな

村山由佳さんの「星々の舟」。古本屋でなんとなーく手に取っただけの本ですが、おもしろかった。昔読んだ「すべての雲は銀の——」よりもずしんとくるものがある。

吉行淳之介の「軽薄対談」。相変わらず(?)あほなおじさんでかっこいい。

町田康の「人生を救え!」。この人のエッセイは全部すごく好きですが、未だに「耳そぎ饅頭」を越えるものは出てこない。うくく。

**********

稽古後、ボブ・そひさんとモツ鍋を食べる。
晴れ。

ミナミでニシモトと会い昼食をとる。無事結婚式を終え何かやり遂げた感のある僕たち。何もやり遂げてなんかいない、という確認のためのミーティング。

テラス席から道を眺めていると、ペアルックの男女が歩いてきました。と、思ったらよく見たらただ二人ともスーツを着ていただけでした。

********************

塩野七生さんの「再び男たちへ―フツウであることに満足できなくなった男のための63章 (文春文庫)」を読む。やはり面白い。良い本ってのは人生に彩りを与えますね、やはり。

前作(男たちへ―フツウの男をフツウでない男にするための54章)よりも敷居が高い感じもしますが、題材がファッションであろうと政治であろうと、筆者の男たちへの叱咤・激励の根本は共通しています。世の中の全てはやっぱりつながっているんだなってことがわかりますね。しかもその全てに裏と表がある。

良い事はしばしば悪意から生まれる、ってのは面白い。

たとえば正論の暴力ってあると思います。「あのなあ・・・・、そんな事とうに考えたわ!」というような正論でも、正論なんだからそれでねじ伏せられたら「・・・・・・ごもっとも」と言わざるを得ませんからね。でもそんな正論だけで世の中がうまく回ると思っているとしたら、その人は本当にハッピーな人だと思います。

南北問題やテロリズムなんかに対する見方もそういう部分があると思うんですが、結局は時のマジョリティ、もしくは広義での権力者の勝手な正論なんだということをわからずにいる人たちが多いのは事実です。「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」的な。

そそそそんなばかなって人たちが実際にいるんです。それがそこまでめちゃくちゃに見えていないだけで。既成概念を疑う事をしない、できない。これは人類のテーマでもあると思います。人種差別、地動説、バブル経済、ちょっと考えただけでも例には事欠きません。

何事にも裏表。絶対的な正論などない。
晴れ。

なんと僕は免許を持っていません。で、おとといなんとなく、自分の原チャリのとこだけにマルがついた免許証を見ていたら、なんだか泣けてきたので免許を取る事にしました。

そんなわけでいずみさの自動車教習所へ手続きをしに行ってきました。ただの手続きやのに妙に緊張する。ロビーには泉州の悪ガキがいっぱいいて、怖くはないけど居心地が悪い。僕は中学から和歌山のわけのわからん私立だったので、泉州ははっきり言ってアウェイです。

アウェイの空気を振り切って、さあ取るぞ免許。ともだち百人できるかな。

その後りんくうのアウトレットへ。ニシモトとソノオトウトと一緒に。結婚式に出席するための白いシャツと靴を購入。ピシッとね。

***************

読書「エイジ」重松清。「疾走」しか長編は読んだ事がなかった(と思う)のですが、面白かったです。「疾走」は救いがなさすぎて「ああ!!・・・・あああああああ!!!!」ってなったものですが、この本はそんな事はない。

中学生の話なのですが、その中で、クラスメイトを「A級、B級、C級」とか、「メジャー派、マイナー派」とカテゴライズする場面があります。そういうのって、高校ぐらいまではどこの学校でもある程度はあるものだと思います。うちの学校でも、おとなしい奴とか垢抜けない奴は「マニア」なんて呼ばれてました。

でもカテゴライズなんてほんとは無意味なんです。高校生、ましてや中学生は、というか人間なんて、何かを定義できるほどえらくない。

大学ぐらいになるとさすがにみんな無知の知で、「好き嫌い」と「善し悪し」は全然別物だってわかるようになってきます。そうなった時に、「嫌い」だったはずのものが違って見える。他者の発見です。

自分のものさしで測るのと、自分勝手なものさしで測るのは違う。
晴れ。

病院へ。

おじいちゃんの気力がなくなってきている。物言いとかが投げやりになっています。

老後の問題ってシビアだ。すごく。友達たちの話を聞いてても、さびしく、とか、つまらなく、なんとなく忘れられて人生をフェードアウトしていく老人たちはすごく多い。一生懸命生きても、成功しても、楽しい人生を過ごしても、最後グダグダだったらそれってすごく哀しいと思う。終わりよければ全てよしじゃないけど、でも。

幸せ感ってのは本人の問題だ、なんて言うけど、そんなに強い人たちばかりじゃない。

うちの家族、うちのじいちゃんがそうだというわけではありませんが、そういったお年寄りたちのまわりの、罪悪感を感じる子供たち、孫たちは偽善でしょうか。でも、そういう類の偽善がなければ、人間の社会生活自体が成り立たない。モラルとか道徳ってのは、言ってしまえば偽善なわけですから。で、道徳だけでは人間の欲望はコントロールし切れないと気付いた時、人間は法を発明した。うーん。

************

吉田修一の「悪人」を読みました。著者の「パレード」って作品を発展させたような作品で読み応えがありました。新聞の連載小説だったということですが、なんか集中しづらいその形式を逆手に取ったような(?)、よくできた小説でした。途中で筆者の気が変わったのかな?軌道修正したのかな?って感じはありましたが。

モラルのを守るのは善人。法だけなら悪人でも守れる。全然、守れる。それに気付いているのかいないのか、現代人。気付いているなら哀しい。気付いていなくても哀しい。

おぎゃあおぎゃあ。

「こんな世の中に生まれ出てきてしまった瞬間に、人間は泣き喚くのだ」

リア王はうまいこと言った。
晴れ。

久しぶりにフランスパンの稽古へ、衣装、チラシなどを持っていく。一瞬で去りましたが。

その後天王寺へ。大学の友人とコーヒーを飲む。24歳で35年のローンを組んで家を買った彼女。色々あっても文句ひとつ言わない彼女を僕は本当に尊敬します。色々なくても文句言う人間ばっかりの世の中やのに。

****************

重松清の「小さき者へ」を読む。答えを与えない感じの短編たち。どんな人でも悩みはあるものです。小さいけど深刻な、深刻だけど小さい悩み。そして答えがあるとは限らない。完璧な答えなんて、きっと、大体の場合は、ない。

要は完璧じゃないその解答に、赤ペンで、マル、とつけてあげられるかどうか。
普段はあまり日本語に浸ってもあれなので我慢しているのですが、僕は旅行中は日本語の本を解禁することにしています。

正月メキシコで読んだ本。

「ローマ人の物語1〜5」塩野七生

「やりにげ」みうらじゅん

「イギリス式人生」黒岩徹

やっぱり塩野七生がダントツで面白かったです。1を読んでから半年以上あいていたのでせっかくやからまた1から読みました。特に4・5巻、第二次ポエニ戦役に夢中。ハンニバルは一躍僕のロールモデルです。負けたけど。何でこんなに面白いんやろう。高校のときにもやったはずやけど記憶にすら全くない。

「やりにげ」。筆者の歴代女性関係をSEXを軸に書いてました。あほ過ぎるのですがたまに怖いくらいリアル。ぞおっ

「イギリス式人生」あえてイギリスの文化をちょっと垣間見てみようと思って買った新書。イギリス人。やっぱ島国根性で、日本人と通じるものもありますね。ユーモアの精神は見習いたいです。

以上が全部BOOK OFFで手に入る。何て日本なニューヨーク。
7月18日 電車で本。
晴れ。

モントピリアに引き続きアムトラックでナイアガラへ。誕生日に滝を見るため。長旅には読書が欠かせません。ということでブックオフによってから乗車。

「ビタミンF」 重松清

「えっちな気持ち」 菜摘ひかる

「ローマ人の物語1」 塩野七生

「むかし僕が死んだ家」 東野圭吾

塩野七生がダントツで面白かったです。2・3・4〜とまとめ買いしなかったのを車内で後悔。古代ローマの興亡の歴史。高校やなんかの世界史の教科書も困難だったらいいのになあ。

重松清はとっても面白いんですが、僕みたいな23・24歳の坊が読むと、筆者の世代が読むのと全く違った意味になると思います。等身大の大人たち、を、客観視。うーん。

「えっちな気持ち」は題名に引かれてなんとなくで買いました、ソープランドやピンサロ、ヘルスなどで働く25人の風俗嬢達を一人ずつの一人称で描いています。狂ってて、でもリアルで面白いです。

東野圭吾は母親や友人がはまりまくってるのは知ってたんですがなんか今まで敬遠していました。これが彼の真骨頂なのか異端系なのかは知りませんが、よく出来ていました。止まらなくなる系です。夢中になり、一息で読んでしまう。さすが、ポピュラーになるだけはある。でもやな読者になってしまえば先が読めてしまう気もしました。

ガタンガタン。
 晴れ。

 というわけで「冷静と情熱のあいだ―Blu」を読みました。辻 仁成による男バージョンです。有名過ぎるこの本、僕はなんか敬遠していて、今まで読む機会はありませんでした。多分日本にいたら読むことはなかったでしょう。縁って不思議だ。

 まあそんなわけで、今更書かなくてもいいぐらい有名だとは思いますが、「冷静と情熱のあいだ」は、辻仁成と江國香織が「一緒に小説作ろうや!」となって書かれた作品で、主人公は、色々あって別れて、数年たったカップル。辻仁成による男主人公の「Blu」と、江國香織による女主人公の「Rosso」に本自体が別れており、それぞれの一人称で、男側の気持ちと女側の気持ちが描かれています。非常に面白い企画。

 過去に縛られ過ぎている男、情熱に生きたが為に傷ついて、冷静で生きようとしている男、しかし依然渦巻く情熱、結果人を、自分を傷つけていくことになる。その先にあるものは。みたいな感じです。僕は主人公が自分とオーバーラップして、かなりのめり込んでしまいました。

 やはり傷つくもんなんですよ、人生なんて。公園できゃっきゃとはしゃいでいる少年がいる。そりゃあたまにはこけるんです。血ぃ出る、泣く。でも傷はかさぶたになって癒えていく、涙は乾き、少年を強くしていく。全ては思い出になっていく。それともクッションを敷き詰めた安全な部屋の中で一生暮らすんですか。

 思うんですが、一度きりの人生、思い切り笑って暮らしたければ、やはり思い切り泣くことも覚悟しなくちゃいけないんですよ。つるりとしたハートはプリンのようで生クリームのようで、大変に傷つきやすかったりします。みんな最初はそれを知らず、ガンガンぶつかり合って、傷つけ合って、ぼろぼろになる。

 でもハートはプリンじゃない、生クリームでもない。ハートだってヒトという生物の一部であって、「自己再生能力」というやつを持っている。それは「忘却」であったり、「成長」であったり、「あきらめ」であったりします。

 ともかくそうやってだんだんだんだん癒えてくる訳です。そうして傷が癒えた時どうなるんでしょう。心の傷は骨折に似ていて、治った後も鈍い痛みは続きます。そんな古傷が痛んだ時、僕達はつい、骨折した時、傷ついたその時の痛さを思い出しちゃうんですね。で、プリンのハートをガードしちゃうんですね。

 駄目なんですそれは。骨折ってやつは、「リハビリ」しないと鈍い痛みはいつまでも続くんです。僕達が人との関係を恐れて「こっから先には来ないでね」ってやってる限り、僕達の心はちくちくと痛み続け、一生そんな鈍痛と共に、そして孤独に生きていかなくちゃいけないことになるんです。

 例えばそれが恋愛だったとして、ハートブレイク君が新しい彼女を作ったとしても、もしその新彼女に心を開かず、いつ傷つけられるのかとビクビクし、ほんとの自分を隠して、ハートをガードして付き合っていたら、それは彼女がいないより寂しいと思います。例えばどれだけ一緒にいても、どれだけ体をくっつけていても、それは逆に「それでも心はくっつかない」という再確認になっちゃうんです。独りぼっちの再確認。

 だから必要なのはリハビリであり、再び怪我するのを恐れないことなんです。心を再びノーガードにして、ぶつかり合わないと古傷は克服できないんです。ノーガードにして心が通った時、上の例のハートブレイク君は、体をくっつけることにより今度は「心もくっついてる・・・よな?」と確認できるわけです。ノット独りぼっちを確認。

 そうしていつか、ぴたっ!!!!!!!とくる相手とめぐり合ったらいいんです。どんなに心地がいいか。どんなに心地がいいんだろう。プリンでいこうよ、生クリームでいこうよ。

 で、楽しい人生というイチゴ乗せて、プリンアラモードになろうよ。
 晴れ。

 そういえば昨日ゼミだったんですが、なんか発表の人が超ぐだぐだで、先生の機嫌がみるみる悪くなっていきました。その人は3年生で発表も初めてということで、仕方ないのかも知れませんが、あまりきちんと準備をした様子もなく、理解しかねます。その場のアドリブで乗り切れないのならしっかり準備すればいいのに。

 授業後先生に用事があった僕としてはあまり先生の機嫌が悪くなるとつらいものがあったわけですが。まあ全然授業が終わった後は普通だったのでよかったです。

 そして植草甚一の「ぼくのニューヨーク案内」を読みました。紀伊国屋のNYコーナー、面白くない案内本、エセイが溢れる中できらりと光っていたのがこれでした。もっっすごい内容が偏ってましたが。古本と演劇と警察の職権乱用について。それでも面白いことはおもしろいんです。しかしいかんせん40年位前の本なんですよねこれ。まったく「NYの今を描いて」いない。

 とはいえ演劇のところなんかは、僕が授業でやった巨匠がバリバリ現役の人として描かれていて、テンション上がる上がる。オフオフ・ブロードウェイという前衛の(?)勢力の下りなんかは今読んでも新しく感じます(逆に、事でしょうか)。でもアメリカ演劇ってどうも堅苦しい気がするのは僕の勉強不足でしょうか。

 文体は僕と合っていなく読むのしんどかったです。

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