晴れ。

というわけで本番。あくまで授業の一環なので、本番と言う言葉はふさわしくないとは思いますが。学校内外のお客さんがやってくる。ソヒさんマリちゃんもきてくれました。

昼飯の後、みんなでセットを作り始める。お客さんはもう入り始めているので緊張感漂う。誰も喋らずにロー・ハムというボイトレをしながら。先生のキャロルがやってきて「なんか床が揺れてない?あれま!あんたたちかいな!」と言っていました。

ヒカリが緊張している。肩をぎゅうぎゅう揉み合いながら、緊張しぃの先輩の俺から舞台上で緊張したり気が散ったりした時の僕の対処法を教えてあげました。「対処法」って大層に書いてますが、まあ演技の基本の基本なんですけどね。でもみんな忘れがち。ヒカリは「フンフン、そうやね、そうや」と言いながら聞いていました。

準備も整い、キャロルの簡単な挨拶が済むといよいよ開始。シーンその1、アダムとジョーダンから順番に舞台に立っていく。

緊張もあるのか、やはりまだ沈黙がけっこう支配していて、最初の2シーンはよくわからない感じになってしまっている。スロー。単純な導入のシーンを意味深にやり過ぎてるというのも原因でしょう。先生はシーンの振り分けは公平だと言っていましたが、芝居を改めて読んでみると、やっぱりなんだかんだで最初より後半の方がおいしくできています。僕はちょうど真ん中ぐらい。

シーン3、マイケルとスーザンのシーンあたりから固さが取れてくる。インテンシブの最初から見ていて、マイケルのこのシーンはすごく良くなったと思います。マイケルがもっとオープンアップできたらさらに劇的になると思うんですが。マイケルはすごいカッコええ20歳で、トム・クルーズみたいな顔をしています。そんな男前やのに、いかにもアメリカの田舎の兄ちゃんです、みたいな人柄で、僕は大好きです。スターになって欲しい。

シーン5、コリンとケイティ。演技のキャリアがけっこう長いこの二人。コリンは典型的な性格俳優。自分のスタイルを持っています。コメディがうまい。普段は不器用なくせに舞台上でのそういうさじ加減はばっちり。僕には真似できない演技です。台本の解釈が浅いのが面白い。このシーンはちょっと効果を狙っていってる感がありました。まあHBでは推奨してないけど、なんだかんだ言って効果感覚も役者には大事だと僕は思います。今回は僕はそれをある程度忘れて臨む。

シーン6、僕たちのシーン。ちらりとヒカリと目を合わせ、ニコッと笑って共に席を立つ。

序盤、最初の最初、少しプッシュしてしまう。昨日やって先生に「明日もやれ」と指示された「演出」の部分。やはりリアルとコントロールのバランス感覚がまだないのでしょうか。残念ですが、自分で「あっ、プッシュした!」と気付いたので逆にそこからは押さない演技が出来ました。

ヒカリのモノローグ。少し焦ってたんじゃないでしょうか。そこに気が散ってしまう僕も良くない。

「ウォルポール・"ブロンコ"・ウェザーワース」。やるのは大嫌いやけど客観的には大好きなこのシーン。おもろいとかは僕的にはどうでも良くてて、それより僕はこのシーン、人間の素晴らしさが垣間見える素敵なシーンだと思っています。やってる本心はやり心地悪いですが、完璧に機能していて客大いに笑う。舞台で居心地が悪いのが良くないかというとそうでもないんです。それがキャラクターの状態かもしれないんだから。この場合はまさにそう。

キスシーンから始まる最後のビート。ヒカリが変えてきました!!!もちろん僕もこれまでリハーサルでやってきたことにこだわらず一気にそのモーメントに身を委ねる。今までのリハーサルとは全く違った新しいシーンが生まれました。そしてそれが機能している。役者として最高に楽しい瞬間。本番でこれが出来るのも演出がいないおかげ。

俺たちのシーン終了。席に戻るとみんなが満面の笑みで肩を叩いてくる。どうやらグレイトな出来だったようです。ウインク。

とりあえずテクニカルなことは全て頭から排除して挑んだのですが、それでもちゃんと出てくるべきものは出てきたと思います。でも多少「ここはこれがこうやからこうである」というのがなく台詞を言った部分もあるような気がします。人間なんて複雑なものなので、頭の中で具体的である必要は実はないのかもしれませんが。

シーン8、ファビアンとミニー。僕が一番好きな役者ファビアンが完全にぐだぐだになっていました。ミニーともかみ合っていない。何があかんかったのかわかりませんが、何かが完全に欠如していました。すごく残念。

最終シーン、マークとレイチェル。マークが罠にはまっていたと思います。先々週のエモーショナルなリハーサルを引きずってそれを再現しようとしてしまっていたんじゃないでしょうか。昨日スペインからやってきた彼女が客席にいたのも良くなかったのかもしれない。

マークのシーンに関しては僕はずっと思っていたのですが、今回のサマーインテンシブを始めるに当たって先生以外、「人の演技に口出しをしない」という素晴らしい取り決めがあったんです。僕も演出や先生以外から色々言われるのは好きじゃないし正直聞く耳も持っていません。というわけで僕は何も言いませんでした。しかし先生はちゃんとマークに言ったんだろうか。よくわからんシーンになっていたぞ。

というわけで発表会終了。まあまあ、あくまで練習の一環ですからね。お客にもそう断っているし。

これでシーンスタディも終了。サマーインテンシブ、後は個人面談を残すばかり。やれやれお疲れ様みんな、そして俺。

放課後もちろんみんなで飲みに行く。すきっ腹ビールでけっこうすぐに回ってくる。僕の誕生日会も兼ねていたので夕方から深夜まで飲み続ける。四軒。

日付が変わって誕生日。

ドイツ人のマイクがプレゼントをくれました。ピーター・ブルック(Peter Brook)の"The Empty Space"。なんて渋いチョイス。ありがとう。マークは近くの行列の店「マグノリア・カフェ」でカップケーキを買ってきてくれました。お願い事をこめてろうそくを吹き消しました。ありがとう。昨日教えたのに、ほぼずっと一緒におったのに二人ともいつ買ったねん。ありがとう。

マイクにほぼ無理やり連れていかれたカラオケ屋で僕はダウン。

素晴らしい歳になる予感。

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