2月17日 ガラスの動物園
 晴れ。暖か、後、寒。

 先日、あれはなんとNY観測史上最大の積雪だったそうです。その情報は日本から回ってきたものですが。でも今週は暖かな日が続き、けっこうあっさり解けちゃいました。イエーイって作った雪だるまが翌朝にはばらばら死体。お。

 さて、アクティングクラス、ニールサイモンに加えて最近、テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams)「ガラスの動物園(The Glass Menagerie)」という作品の中のモノローグにも取り組んでいます。

 アメリカ演劇のメインストリームのど真ん中にある作品。作者の自伝的な作品であるというこの四人芝居、さすが後世に残っていくものってのは絶対的に面白いなと思わされました。シェークスピア然り。人間の本質ってのは時代を超える。当たり前ですか。

 ストーリーテラー、トムの回想というスタイルで進んでいく「追憶劇」というやつなのですが、「記憶」というのがこの作品において非常に重要な役割のひとつとなっています。記憶に縛られるトムに限らず、トムの「記憶」の中の人間たちも記憶に縋り、囚われ生きていたりします。

 記憶ですか・・・。

 記憶ってなんなんでしょうか?。財産です。これは絶対にそうです。輝かしいものはもちろん、苦い思い出、悲しい思い出、それらは全て僕たちの引き出しの中にあるのであって、僕たち自身なわけです。

 ただそれとどう向き合っていくかが難しいところなんでしょう。戯曲中の母、アマンダのように過去の栄光をただ一つの拠り所にすると、それはとたんに足かせに変わってしまうんです。過去を求めても未来には過去はないんですから。希望の光、ジムはそういう意味でいいバランスを保っているんですね。さすが普通代表。

 逆につらい過去から目を背けてしまっても無理が生じます。なかったことにしようとしても、「なかったこと」じゃないんだ、過去は依然過去、事実なんだということを一番良く分かってるのは自分自身なわけで、一見うまく転がっているようでも、いつかどこかで自己矛盾と向き合う羽目になっちゃうんです。姉のローラは過去には生きていません、しかし今も生きていません。ガラスの動物園にこもっちゃってるんです。

 トムは過去から逃げようとして、逃げられなくて、過去と向き合うことを決めたわけです。つらくても、それが解放される一番の近道だったりするんですよね。

 でも例えば過去を克服するんだとか言って、それに真っ向から向き合うことで、逆に捨てられない過去だと気付いたり、本当の自信をつけるため過去を認めるんだとか言って、それに真っ向から向き合うことで今の自分の表面的な自信すらぐらついたり、本当複雑なもんなんです、過去って。

 それでも財産なんです。きっとそうなんです。

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