8月3日 共におれば都
 晴れ。

 ピザハットの家で目覚める。キャベツの味噌汁とシソ納豆で朝ごはんを済ませると、二人して外出。キャベツの味噌汁・・・、野菜炒め用の野菜セットを購入し、味噌汁にしてみたのですが意外と美味。野菜もバラエティ豊富に採れるしね。ニンニクの芽は少し鼻につきましたが。

 今日はなんと観光です。これは僕的に非常に珍しいことです。というのは、僕は東京にはよく来ますが、いつも友人と遊ぶばかりで、いわゆる東京名所、的なところはほとんど行ったことがないのです。

 東京在住のピザハットも同じようなもので、府中に関しては町の隅から隅まで知っているが(pizza hutですしね)、その外はとんと行かない、観光スポットなんて4年住んでて行ったことがない、というレベル。

 その事実に愕然とした僕たちは、早急に手を打つべく、「東京下町ぶらり旅」を企画したのでした。

 「兄弟、じゃあここはひとつ、『はとバス』とやらに乗ってみようじゃないか」
 「ほほう、『はとバス』か、そいつはおつだなあ兄弟」


 ピザハットとは中2からの付き合い、楽しくて、二人でいるとキャラがおかしくなります。という訳ですごいテンションで「はとバス」をググる。お、いっぱいヒットしたぞ、はは、こりゃええ、はは。なんて言いながら画面をチェック。「お一人様8500円」。

 一時間後、僕らは新宿にいました。「はとバス」?、そんな既成のプランはまっぴらです。・・・とはいうものの、朝も早いのにみどりの窓口に長蛇の列ができているこの大都会で、僕たちは呆然と立ち尽くします。

 「案ずるな兄弟、こんな時のために昨日『るるぶ』を買っておいたんだろう?さあ、見ようじゃないか。」
 「・・・。」
 「兄弟?」


 兄弟はるるぶを家に置き忘れていました。早くもくじけそうになるのをこらえて、完全に自力で旅をすることに。とはいうものの「東京下町ぶらり旅」、おおよそのプランは立っているんです。上野から浅草へ、さらに隅田川を越えて葛飾区、ゴールは亀有公園。こち亀ファン垂涎のコースです。

 とにもかくにも上野駅にやってきました。さて、最初のターゲットは西郷さんです。階段を昇っていくと、見えてきます、西郷隆盛と、犬(ツンというらしい)。ピザハットは全く興味が持てなかったらしく、タバコをぷかぷか。余談ですがあの銅像、西郷さんと犬の作者は別々らしいです。

 そのまま不忍池(しのばずのいけ)、蓮池、ボート池をぼーっと見ながら一周。蓮池は笑ってしまうほど蓮まみれでした。「釣り禁止」いやいやできへんできへん。ルアー引っかかるわ!って感じでした。

 アメ横へ。アメリカ横町じゃなくてアメヤ横丁なんですね。ピザハットが甚平を購入。よく似合っていたと思います。ピザハットの家に置きっぱにしてあるガイドブックには「とにかく値切れ、2割3割当たり前」見たいな事が書いてありましたが、その店はどうもそういうノリじゃなさそうだったので正規の値段で購入、2000円、それでも無印とかよりずっと安い!

 朝市チックな海鮮丼屋があったので昼食。サーモンの味が何故かスモークサーモンのそれでした。なんでやろう・・・。まあうまかったですが。

 帽子見たりジッポみたり、ちょろちょろしていると意外と日がやわらかくなってきたので、そろそろ行かなければとアメ横を後にする。何故か外人オンリーの店員が、まるでアメ横名物かのように売っていたケバブをかじりながら国道をてくてく。

 陶器屋を物色したりしながら歩いていると、見えてきました雷門。「うおお〜!、なんか知ってる!!」なんか知ってるレベルです。仲見世通りはどことなく京都みたいで、修学旅行気分でうきうき。ピザハットは胡散臭い招福箸を購入。頭にだるまがついてました。

 花やしきへ。「こち亀」で無料と言っていたのでよしよしと思って行ったのですが、なんと有料。よく考えたらあの話は20年近く前の話、時代の流れですか。ちぇ(調べたところ、開園以来36年間入園無料の形態を貫くも、昭和60年2月に、風営法第8条の規制により変更せざるを得なくなったそうです。てゆうか僕らの情報はめっちゃ前ものだったんですね)。

 900円と少々高いし、けっこういい時間なので入園はあきらめる。がたがた揺れて「ある意味」世界一怖いというジェットコースター、乗ってみたかったのですが。

 道を聞きがてら小休止、甘味屋さんへ。雷門を一路外れた道なのですが(「メトロ通り」というらしい、何故横文字なんだろう・・・)、おいちゃん曰く、いぶし銀な老舗が集まる道だそうです。ほんまかいな、客、俺らだけやんか。かき氷、わらび餅。

 大変なこと発覚。浅草から葛飾区はとても歩けないとおいちゃんの情報。隅田川を渡ったらすぐ葛飾だというのは僕らの勘違いだったのでした。電車に乗れとアドバイスをもらう。

 いい加減疲れていたし、時計は17時を回っているしで、テンションだだ下がりで言われた駅を目指していると、なにやら船着場みたいなところに来ました。隅田川下りのフェリー乗り場でした。まあでもこれは葛飾区とは真逆。僕らとは関係ありません。

 「・・・兄弟」

 隅田川を下るフェリーで心地よい風を感じながら、僕らは今日一日を振り返りました。なんて言うか、「実りがない」、そんな言葉がよく似合う日でした。まあでも久々にピザハットと冒険し、時が経つのを忘れて楽しめました。ずっと笑ってた気、します。

 勝鬨橋など名所の橋をくぐり、フェリーは浜松町に到着。下船。ぽやーっとレインボーブリッジを眺めた後、やれやれと腰を上げてようやく帰途につきました。

 電車に揺られながらまたノスタルジーに浸る僕。ピザハットとは中学高校とよく無茶したもんです。マウンテンバイクで峠せめて、てっぺんで川の水沸かしてラーメン食ったり、夜中に焚き火して燃やすもんなくなってタウンページ燃やしまくったり、尼さんに頼まれて犬に餌やったり。そんな事を僕は思い出していました。今日だって表面上は、いたって普通の実りのない旅行でしたが、気の置けない友人との時間は、日常を非日常へと変えるのです。うーん、ビバ友情。

 なあピザハット、あ、寝てる。

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